本構想の意義としては、@高齢者の希望の実現、、A地方への人の流れの推進、B東京圏の高齢化問題への対応の3つの点があげられる。
内閣官房の最近の意向調査によれば、東京都在住者のうち地方へ移住する予定又は移住を検討したいと考えているひとは、50代男性では50.8パーセント、女性34.2パーセント、60代では男性36.7パーセント、女性28.3パーセントにのぼっている。こうした高齢者においては、高齢期を「第二の人生」と位置づけ、都会から地方へ移住し、これまでと同様、あるいは、これまで以上に健康でアクティブな生活を送りたいという希望が強いものがある。また、地方は東京圏に比べて、、日常生活のコストが大幅に低いという点で住みやすい環境にある。日本版CCRC構想は、こうした大都市の高齢者の希望を実現する取り組みとして、大きな意義を有していると強調している。
2019年9月15日現在におけるわが国の65歳以上の高齢者は、3,588万人で総人口の28.4パーセントで、過去最高を更新したと総務省は発表したが、引きつづき高齢者人口はさらに増加することが確実となっている。
とくに、戦後第一次ベビーブームとされる昭和22年から24年間の3年間の出生は800万人を超え、2022年から2024年にかけて75歳以上の後期高齢者の仲間入りすることになり、とくに後期高齢者の医療費も現在の1割負担から2割負担になる方向で政府は検討に入っている。
すでに、北海道函館市や岩手県雫石町、長野県佐久市、新潟県南魚沼市、石川県輪島市、山梨県都留市、鳥取県南部町など冬の期間長期にわたって積雪の多い地域が政府の「生涯活躍のまち」の指定を受けて本格的な事業が推進されているが、それらの地域に比べて冬でも温暖な沖縄は高齢者に取って人生の第二ステージを謳歌するのに最も気候風土として恵まれた地域といえるにもかかわらっず、わずかに石垣市が「生涯活躍のまち」の基本構想を策定しているだけで、沖縄県は全国に比べ立ち遅れている。
北海道庁では、道内市町村が希望する「生涯活躍のまち」事業を導入する意向のあるところをそれぞれバックアップすることにしているが、承知の通り、北海道は、毎年12月から翌年3月までは積雪により、高齢者が屋外に出ることは困難なことから、1年のうち実に4ヶ月も家内に閉じこもって生活することから、足腰が弱くなる大きな要因にもなっている。それに対し、沖縄は冬でも外で軽作業をする場合は、半袖で過ごせるなど高齢者に取りましては、天国のようなものである。
北海道と沖縄との気象条件を比較して、いかに沖縄が住みよいかをPRして、沖縄県下で過疎地域自立活性化特別措置法に指定されている本部町をはじめとする県下18市町村の特徴を宣伝し、これまでの過疎地域が近い将来は、光り輝く田園空間として脚光を浴びる地域になるよう飛躍発展を遂げ、夢と希望とロマンに満ちた地域社会構築を目指した活動を通じて文字通り地方の時代が実感できるよう懸命に努力することである。
元一般社団法人・万国津梁機構 理事長仲里嘉彦