具 志 川 市
面 積=32.82平方キロ
人 口=41,270人
市 長=新 垣 幸 弥
具志川市は沖縄本島における交通の結節点である中部地区に位置し、同地区は石川、具志川、コザ、嘉手納、読谷などの中核的な都市があり、個性をもった都づくりをめざしこれらが一つになって那覇に対応する都市圏を形成している。具志川市は総面積32.82平方キロでうち軍用地は15.5%と中部地区では最も軍用地の比率が低いところである。
具志川市はとくに内陸型工業化を指向しているが、一方においてはコザ市、勝連村、美里村と提携して特定港湾の誘致にも積極的姿勢を示している。具志川市の復帰後の経済開発に関する基本的考えについては概要つぎのとおりである。
具志川地区への適正業種としては、機械、電気、輸送用、精密などの機械工業、沖縄本島の内陸部中核地区としての大規模内陸型工業などが考えられる。具志川地区の位置づけは中部地区に位置し、中部地区の開発方向によって位置づけがなされる。
地区のもつ立地条件の特徴としては、広大な開発適地があること、基地関係の労働力によって、機械系の技術力を期待できること、中部地区におけるコザ、読谷、嘉手納、具志川、石川と5つの中堅都市がそれぞれの機能を分担し、中部都市圏としての展開が可能なこと、中部地区は本島内の陸上交通の結節点にあたり、具志川地区はその「見付」的な性格をもつことなどがある。
これらの特徴は内陸部産業の開発適地としてきわめて有位な条件であり、発展の可能性が高い。このことから、内陸部の代表的な業種として、概械工業などの業種の展開が期待できる。また機械工業の発展のもう一つの素地として基地労働力がある。現在、基地に就労している労働者は次第に他産業へと転換をはからなければならない。
このような場合、現在の就労の職種がある程度の技術水準に達しているケ−スが考えられる。これらの技術力は、一般に機械工業の着目するところとなり、これらの展開を促進する要因としてみることができる。現に本土の戦後基地化した地区において、これら労働者が開発後多くの機械工場の集積の基盤になった地区を多くの例でみることができる。また沖縄の場合、基地の歴史が長いため、これらの労働者も地域への定着度が高い。
当地区の工業団地開発において造成の規模は約100万平方メートルと考える。開発の目標をどの視点をとって考えるかは、いろいろの見方があるが、その一面である工業開発についてみると、工業団地造成の目標規模としては100万平方メートル程度が考えられる。その理由として一つは、工業団地の経済規模という点があげられる。
これまで本土の各地で造成されている工業団地の経験からみると、やはりある程度以上の規模がないと必要な関連施設(たとえば取り付け道路、用排水、電力など)の経済単位にならない。第2番目は団地の地域への定着という面である。工業が地域へ及ぼす影響の最も第一義的に考えられるものとしては、工業生産による経済的な波及効果という点である。
第3番目として、工業団地の規模と当該市町村規模の相関度からみても、このことが一つの目安としている。その理由としては、本土の首都圏外縁部における町村の開発規模の想定を行なったときの例でみると、7万人の市において、その市が必要とする税収に見合う産業からの税収をバランスする規模としては76ヘクタールとなっている。
この例からして、ある程度有効に地域開発を進めていく工業団地の目標値は66万−100平方メートルとみる。この場合、ある程度近接した地区であれば一団地として考えられることは可能であろう。地域の開発を進めるための各種の制度、組織づくりなどを早急に進める必要がある。
本地区の沖縄における位置づけは、今回の調査でも一応の考え方が示されたが、これは「工業開発」という観点からの見方である。したがって2次産業以外の1次産業、3次産業を含めた産業開発計画、それと、都市区域、住宅地計画、緑地計画などの総合計画が早急に立てられなければならない。
産業新聞社「胎動する沖縄企業」より
仲里嘉彦