2014年05月31日

東京のさくら名所今昔 その63

東京のさくら名所今昔 その63



当時、公開の場所でこれだけのコレクションができたのは、一に信仰心の賜である。

『遊歴雑記』の筆者も「世上の春を此所によせ集めし心地ぞせらる、何れも大旨(おおむね)古樹にして、東武の一壮観といふべし」と述べ、また「能(よく)も斯(かく)は昔から集め植置し物になん」と感嘆している。

江戸の町中で唯一無二ともいえる、これだけの桜の集植地を前にして、蜀山人が上述の記録を残した気概にも、また頭のさがる思いがする。

この来福寺は御殿山とともに、江戸南郊の名所の中心をなしたと思うが、芝から品川、大井ー帯には、寺社や民家に桜が多く植えられており、それらを訪ね歩くことも、好者の行うところであった。


下谷・浅草についで多くの寺社地があったことからも、花の行楽には事欠かなかったに違いない。


芝の増上寺は徳川家の菩提寺として境域を広く構えた中に桜花を遠望させ、泉岳寺に接した如来寺はまた五智堂ともよび、数百本の桜を見ることができたという。


また大井に至れば来福寺に近く西光寺が、同様名桜のあることで知られていた。


(相関芳郎著 東京都公園協会監修による東京のさくら名所今昔より)

posted by 春夏秋冬 at 07:12| Comment(0) | 東京のさくら名所今昔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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