2012年01月23日

「胎動する沖縄企業」シリーズ74

「胎動する沖縄企業」シリーズ74

オリオンビール株式会社


   本 社=那覇市安里
46854

   資本金=29,310万円(95万ドル)

   社 長=吉 田 義 男


 

オリオンビール株式会社は1957518日、資本金45万ドルで設立された沖縄唯一のビール会社である。オリオンビールが設立されるまではほとんど本土からビールを輸入していたが、ビールに関する物品税が当時200%ときわめて高い水準にあったこともあり、一般庶民には全く無縁のものだった。


そこで具志堅宗精・代表取締役会長を中心に地元でビールの製造会社を作りこれによって沖縄経済の発展を図ろうとのねらいからスタートしたもので、現在では年産規模
27,000キロリットルに達し沖縄県内における市場占有率は91%に達している。従業員は本社89人(販売本部を含む)名護工場151人の合計240人で、年間売り上げも1,000万ドルに達する沖縄の有力企業である。


オリオンビールの工場は沖縄本島北部最大の人口を有する名護市にあり、工場敷地面積は約
33,000平方メートル、工場延べ面積は1万平方メートルとなっている。オリオンビールは、これまで琉球政府の輸入酒類消費税という保護措置で比較的事業は順調であったが、515日祖国に復帰することにより、それらの企業運営はかなりきびしいものになることが想定されている。このような事態に対応するため同社はいくつかの合理化計画を推進中だ。具体的には@コストの低減を推進するため1970年から総工事費200万ドルを投入して年産規模8000キロリットルの醸造設備を昨年完成させた。


この最新鋭の設備を建設したことにより、一段と合理化がすすんだとしている。なお、この完成により同社のビール生産能力は従来までの生産能力の
19.000キロリットルから27,000キロリットルに達した。


A組織面における合理化=同社は、これまでビールの販売を担当してきた別会社のオリオンビール販売会社を昨年
12月形のうえでは解散させ、その営業権、従業員を全面的に引き継いだが、さらに流通機構についての改革も実施していきたいとしている。


B品質の改善=同社は現在生ビール作戦を展開中で、すでに同社の売り上げの
60%近くが生ビールの販売によって占められているが、復帰後にはさらにその比率を70%まで引き上げていく方針である。


生ビールは本土からの輸入がむずかしいこともあり、もちろん、その部門においては
100%のシェアを誇っているが、生ビールのシェアを拡大すればするほど企業は安定すると同社では判断している。また同社は経営の多角化を図るため、昨年51日オリオンサイダーの発売に乗り出したが、軌道に乗るのはあと一歩のところだとしている。そのほかにも経営の多様化を図るため現在具体的検討をすすめているが、公表の段階ではないとしている。


オリオンビールが生産を開始したころは沖縄県内におけるマーケットシェアはわずか
20%であったが、現在では91%までそのシェアを拡大することに成功した。これは同社の経営努力もあったが最大の原因は輸入酒類消費税という保護政策によるものである。

現行の輸入酒類消費税
100リットル当たり47ドルとオリオンビールの販売価格26ドルより21ドルも高くついているが、復帰するとこれまでの制度がなくなり、減免措置が講じられることになっている。

このため従来までのような保護措置はとれなくなり、企業経営は復帰後かなりきびしくなってくることが予想されている。ビールなど酒類に関する大蔵省の減免措置については一応
5カ年としているが、減免の幅などについては、これから政令できめることになっている。


このように沖縄の祖国復帰に伴ってオリオンビールはきびしい環境におかれることになるが、同社としては先にあげたコストの引き上げ、組織改革、品質向上によりある程度これらの困難な事態を切りぬけることが可能とみている。

また、過去
10年間をみても県民所得の向上に伴ってビールの需要はかなりのテンポで伸びてきているが、復帰後1年目に予想されている準国体の開催、75年の沖縄国際海洋博覧会開催などによる諸外国からの観光客が予想されるため、こんごとも需要の面では期待できるとみている。

      産業新聞社「胎動する沖縄企業」より

                                      仲里嘉彦



posted by 春夏秋冬 at 08:17| Comment(0) | 胎動する沖縄企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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